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愛着障害診断の基準と、大人の愛着スタイルとの違い

恋愛や人間関係の悩みの原因を知りたくて「愛着障害」を調べる人は少なくありません。ただ、医学でいう愛着障害は子どもの診断名で、大人の愛着スタイルとは別のものです。その違いと、ネットのテストでわかること、相談先をまとめました。

執筆:ECRtest編集部 · 2026年10月6日更新 · 約7分で読めます

要点

  • 医学でいう愛着障害は、5歳までに特徴が現れる子どもの診断です。
  • 大人の「不安型愛着障害」「回避型愛着障害」は、正式な診断名ではありません。
  • 愛着スタイルは誰にでもある人との関わり方の傾向で、病気ではありません。
  • ネットの診断テストで、愛着障害かどうかを判断することはできません。

医学でいう愛着障害とは

医学で「愛着障害」にあたるのは、主に2つの状態です。アメリカ精神医学会の診断基準DSM-5-TRでの名前は、「反応性アタッチメント症」と「脱抑制型対人交流症」です。ひとつ前の版の日本語訳では、「反応性アタッチメント障害(反応性愛着障害)」「脱抑制型対人交流障害」とされていました(American Psychiatric Association, 2022)。

どちらも、深刻なネグレクトや、育ててくれる大人が何度も替わる環境など、きわめて不十分な養育のなかで育った子どもに見られるものです。反応性アタッチメント症の子どもは、つらいときにも大人に慰めをほとんど求めず、なだめられてもあまり反応しません。脱抑制型対人交流症ではその逆で、初対面の大人にもためらわずに近づき、ついて行こうとします(Zeanah & Gleason, 2015)。

世界保健機関の国際疾病分類ICD-11でも、反応性アタッチメント症を診断できるのは子どもだけで、特徴が生後5年以内に現れることが条件です。1歳未満、または発達年齢が9か月未満では診断しません(World Health Organization, 2024)。つまり医学の言葉としての愛着障害は、乳幼児期の深刻な養育の問題と結びついた、子どもの診断です。

大人に使われる「愛着障害」という言葉

大人について「愛着障害」という言葉が広く使われるようになったきっかけの一つは、精神科医の岡田尊司による一般向けの本です(岡田、2011)。子ども時代の経験が大人の人間関係にどう影を落とすかを身近な例で描き、多くの読者に読まれました。

一方で、大人を対象にした「愛着障害」という正式な診断名は、DSM-5-TRにもICD-11にもありません。「不安型愛着障害」「回避型愛着障害」「恐れ回避型愛着障害」といった言葉も、医学の診断名ではなく、愛着スタイルの呼び名に「障害」をつけた通称です。

通称を使うこと自体が悪いわけではありません。ただ、「障害」という言葉は、自分には治すべき病気があるという印象を与えがちです。実際には、大人の愛着の傾向は誰にでもあり、いくつかのタイプにきれいに分かれるのではなく、程度の差として連続的に広がっています(Fraley et al., 2015)。

それでもこの言葉に心を引かれる人が多いのは、子どものころの経験と今の関係のつまずきがつながっていると感じるからでしょう。そのつながりを考えること自体には意味があります。大切なのは、それを病名として背負い込まず、変えていける傾向として扱うことです。

愛着スタイルは病気ではありません

愛着スタイルは、親しい人との関係で不安になりやすいか(見捨てられ不安)、距離を取りたくなりやすいか(親密性の回避)という2つの軸で表します。誰にでも両方の傾向がいくらかあり、その組み合わせから4つのスタイルに分けて考えます。それぞれの特徴は4つのスタイルの解説にまとめています。

不安型や回避型と出ても、それは関係のなかでの癖のようなもので、診断ではありません。安定型の人にも悩みはありますし、不安型や回避型の人にもそれぞれの強みがあります。スタイルは経験とともに変わり、信頼できる関係やカウンセリングのなかで、少しずつ安定に近づいていくこともあります。

ですから、愛着スタイルの結果が「不安型」でも、「不安型愛着障害」があるという意味にはなりません。結果は、今の自分の関係の結び方を知り、どこに気をつけるとよいかを考える手がかりです。

ネットのテストでわかること、わからないこと

当サイトのテストは、研究で広く使われている質問紙ECR-RとECR-RSにもとづいています。わかるのは、親密な関係での見捨てられ不安と親密性の回避の強さ、大規模な回答者データと比べたときの位置、母親や父親、親友など相手ごとの傾向です。

わからないのは、病気や障害があるかどうかです。愛着障害の診断には、生い立ちや養育環境の聞き取り、行動の観察、ほかの状態との区別が必要で、専門家が時間をかけて行います(Zeanah & Gleason, 2015)。質問に答えるだけの診断テストでは、無料でも有料でも、それを判断することはできません。

ネット上には「愛着障害チェック」をうたうテストも多くありますが、どれも医学的な診断の代わりにはなりません。結果が気になるときは、それだけで自分を判断せず、専門家に相談するきっかけにしてください。

不安型恐れ回避型安定型回避型

自分の愛着スタイルを知る

診断ではなく、親しい関係での見捨てられ不安と親密性の回避の強さがわかります。

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  • 72問
  • 10-15分
  • 登録不要

つらいときの相談先

人間関係の悩みが長く続く、気分の落ち込みや不安で生活に支障が出ている、子ども時代のつらい記憶がよみがえって苦しい。そんなときは、一人で抱え込まずに相談してください。大人が「どこで診てもらえばいいのか」と迷ったら、まずは精神科や心療内科で今のつらさを話してみてください。受診の前に、いつごろから、どんな場面でつらいのかをメモしておくと、話しやすくなります。

  • 精神科・心療内科:気分の落ち込みや不安、眠れないといった症状があるときに受診できます。
  • カウンセリング:公認心理師や臨床心理士と、人間関係や過去の経験について一緒に考えられます。
  • 精神保健福祉センター:各都道府県と政令指定都市にあり、心の健康について相談できます。
  • お子さんのことが心配なとき:小児科や児童精神科、地域の子育て相談窓口で話を聞いてもらえます。

命に関わる危険があるときは、迷わず119番(消防・救急)に電話してください。誰かに話を聞いてほしいときは、よりそいホットライン(0120-279-338、24時間、無料)に相談できます。死にたいと思うほどつらいときは、#いのちSOS(0120-061-338、24時間、無料)にも電話できます。

よくある質問

  1. 不安型愛着障害は治りますか?
    「不安型愛着障害」は医学の診断名ではないので、病気のように治すものではありません。ただ、見捨てられ不安の強さは変わっていきます。信頼できる関係のなかで不安は少しずつやわらぎやすく(Arriaga et al., 2018)、カウンセリングも助けになります。年齢とともに下がる傾向も知られています(Chopik et al., 2019)。
  2. 大人になってから愛着障害と診断されることはありますか?
    診断基準でいう愛着障害は、子どもを対象にしたものです。大人の人間関係のつらさは、医療機関では気分の落ち込みや不安など、今ある症状をもとに評価されます。一部の専門家は説明のために「愛着の問題」という言葉を使いますが、それは正式な診断名とは別のものです。
  3. 愛着障害かどうか、自分でチェックできますか?
    できません。診断には専門家による聞き取りや観察が必要です。自分で確かめられるのは、親しい関係での不安や距離の取り方といった愛着スタイルの傾向です。それを知ったうえで、つらさが続いたり気になることがあったりすれば、専門家に相談してください。
  4. 親の育て方のせいで、こうなったのでしょうか?
    医学でいう愛着障害は深刻なネグレクトなどと結びついていますが、大人の愛着スタイルはもっと多くのことから形づくられます。生まれ持った気質、友人や恋人との経験、その後の出来事も影響します。誰か一人のせいと考えるより、今の自分の傾向を知ることのほうが役に立ちます。

参考文献 (7)

まずは今の自分の愛着スタイルを知るところから始めてみてください。

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