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安定型になるには:獲得型安定という考え方

愛着スタイルは何年も同じままのことがありますが、固定されたものではありません。年齢とともに、新しい関係の中で、そして心理療法を通して変わっていきます。研究でわかっている変わり方と、それを後押しするもの、変化がたいていゆっくり進む理由を紹介します。

執筆:ECRtest編集部 · 2026年10月6日更新 · 約10分で読めます

要点

  • 愛着スタイルは変わります。ただ、その歩みは遅く、数か月から数年かけて進みます。
  • 安定にいちばん近づけてくれるのは、頼れる関係を何度も経験することです。
  • 心理療法のあとには、平均すると安定が高まり、見捨てられ不安が下がります。
  • 獲得型安定は過去を消すものではありません。変わるのは過去との向き合い方です。

愛着スタイルは年月とともに変わるのか

結論から言えば、変わります。ただし、ゆっくりとです。乳幼児期から成人期のはじめまで愛着を追った127の研究をまとめたメタ分析があります。同じ人を2週間から29年の間隔で追跡したもので、最初の測定とあとの測定の相関はr=0.39ほどでした(Pinquart et al., 2013)。中程度の安定性で、はっきり見てとれる一方、完全にはほど遠い値です。多くの人で、愛着のありようは年月とともに変わっていきます。

大人になってからも、愛着は動き続けます。同じ人を思春期から老年期まで追った研究では、見捨てられ不安は平均して年齢とともに下がり、その傾向は中年期以降にもっともはっきりしていました。親密性の回避は、生涯を通じて少しずつ下がっていきました(Chopik et al., 2019)。パートナーのいる人は、不安も回避も低い傾向がありました。

ですから「愛着スタイルは変わるのか」より、「何がスタイルを変えるのか」と問うほうが役に立ちます。スタイルは、経験がそれを裏づけ続けるかぎり保たれ、経験がそれと違うことを示しはじめると動きます(Fraley & Roisman, 2019)。動く向きはどちらにもなりえます。大きな喪失のあとで人がより用心深くなることもあれば、よい関係の中で安心感を取り戻すこともあります。

獲得型安定とは何か

この言葉は、大人の愛着を調べる研究用の面接、成人愛着面接(AAI)から生まれました。面接では子ども時代について話してもらいますが、評価されるのは出来事そのものより、語りにどれだけ一貫性があり、率直に語られているかです。幼いころの親との関係がつらいものだったと語りながら、安定型の大人と同じくらい一貫した話し方ができる人たちを、研究者は「獲得型安定(earned security)」と呼びました(Pearson et al., 1994)。獲得安定型と訳されることもあります。

こうした安定は、過去をなかったことにはしません。同じ研究では、臨床的な基準を超える抑うつ症状が、獲得型安定のグループの40%に見られ、子ども時代を支えのあるものとして語ったグループでは10%にとどまりました。経験そのものは残ります。変わるのは、それを自分の中でどう抱えるか、そして今どう関係を築くかです。

ただし、大事な注意点があります。大人になってからの語りを子ども時代の観察記録と照らし合わせると、本人が「つらかった」と記憶している子ども時代は、当時観察されていたことと必ずしも一致しませんでした(Roisman et al., 2002)。一方で、乳児期には不安定な愛着だったのに大人の面接では安定と判定された人たちは、実際に親密な関係をうまく築いていて、その多くは目立った心の不調も抱えていませんでした。

当サイトの診断が測るのは子ども時代の語りではなく、今の親密さの感じ方です。ですから、自分の安定が「獲得された」ものかどうかはわかりません。わかるのは動きです。来年の今ごろ、点が安定型の領域に近づいていれば、変化は起きています。

不安型恐れ回避型安定型回避型

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助けになるもの:人間関係での経験

安定に近づく道すじとして、いちばん研究が進んでいるのは人間関係です。Arriagaらのモデルは、ふたつの別々のプロセスを想定しています(Arriaga et al., 2018)。不安をやわらげるのは、自分への自信を育てる経験です。大切にされる、目標を応援してもらえる、成功に目をとめてもらえる。回避をやわらげるのは、人に頼ってみてうまくいった経験です。誰かに寄りかかっても、自由を失うことも責められることもなかった、という経験です。

人や関係についての心の中の前提(内的作業モデル)は、よい出来事が一度あっただけでは書き換わりません。必要なのは、小さな裏づけの積み重ねです。約束どおりに返信が来る、けんかのあとで二人とも話し合いに戻ってくる、頼みごとがきちんと聞き入れられる。だから変化は静かに進み、たいていはあとから振り返って気づくものです。

このモデルの研究は主にカップルを対象にしていますが、愛着は友人関係や家族の中にもあります。恋愛で安定型になるには今パートナーがいなければならない、ということはありません。人への頼り方や応え方を変える練習は友人との間でもできますし、この先の恋愛では、いつものパターンに早めに気づけるかもしれません。

助けになるもの:心理療法

心理療法の前後で愛着を測った研究をまとめたレビューでは、平均して安定が高まり、見捨てられ不安が下がっていました。療法の種類や実施の場、対象者の違いを越えて見られた結果です。回避については、まだはっきりしていません(Taylor et al., 2015)。

そのために特別な「愛着療法」を探す必要はありません。多くの専門家は、カウンセラーとの関係そのものを取り組みの一部と考えています。そこは、弱さを見せても、つらいことを話しても、あとで悔やまずにすむ場所です。そうした経験も、人と親しくなるとどうなるかという予想を書き換えていきます。

変わるために心理療法が欠かせないわけではありません。けれど、不安や親密さへの恐れが生活のさまたげになっている、何年も続いている、つらい経験と結びついている。そんなときは、一人で進むより専門家と一緒のほうが、たいてい楽で安全です。カウンセリングの相手を選ぶときは、気楽に話せる人を探してください。手法の名前より、その人への信頼のほうが大切なことが多いのです。

自分でできること

人間関係や心理療法なしに、自分だけでスタイルが大きく動くことはあまりないでしょう。それでも自分の反応に目を向けていると、どんな経験からも多くを得られるようになります。次の習慣は、ときどきではなく日ごろから続けると助けになりやすいものです。

  • その瞬間をとらえる。不安も、離れたい衝動も、あっという間にわき上がります。行動する前に、何が起きているのかを心の中で言葉にしてみてください。それだけで間が生まれます。
  • 推測を事実と照らし合わせる。「返信がないのは、自分に何か問題があるからだ」は結論のように聞こえますが、推測にすぎません。この沈黙をほかにどう説明できるか、自分に問いかけてみてください。
  • 新しいことを少しずつ試す。何でも自分で片づけるのに慣れているなら、小さな手助けを頼んでみましょう。すぐに確かめたくなるほうなら、結論を出すのを少し待ってみましょう。
  • 自分の物語をつなぎ合わせる。面接で獲得型安定のしるしとされるのは、まさに過去を一貫した筋道で語れることです。信頼できる人と話したり書き出したりすると、ばらばらの断片に感じられていたものが、ひとつにまとまっていきます。

スタイルごとの道すじ

変化の仕組みは共通でも、どこに力をかけると動きやすいかはスタイルごとに違います。

  • 不安型の助けになりやすいのは、自分自身と何人もの身近な人に支えられた落ち着きです。そうした支えがあれば、一通の返信に心を左右されずにすみます。手順は不安型の人が安定型に近づく方法にまとめています。
  • 回避型に役立つのは、人に頼ってよかったと思える経験です。小さな手助けを頼んでみて、それでも自由が失われないことを確かめていきます。詳しくは回避型が安定型に近づくにはで説明しています。
  • 恐れ回避型には両方の経験が必要なので、とくに親密さが痛みと結びついている場合、道のりは長くなることがあります。無理をせずに進む方法は恐れ回避型のページで紹介しています。
  • 安定型も、喪失やつらい別れのあとに揺らぐことがあります。安定を保つための手がかりは安定型のページにあります。

つまり「安定型になるにはどうすればいいか」への答えは、人によって少しずつ違います。自分のスタイルのページから探すのがいちばんの近道です。

どれくらい時間がかかるのか

決まった期間はありません。研究は数か月、数年という単位で変化を追っていて、そのペースは人によって違います。「ひと月で愛着スタイル改善」のような約束は、研究のデータとは合いません。ひと月は、始めてみるのにちょうどよい長さです。自分の反応に気づき、最初の一歩を試すことができます。マップ上の変化が見えてくるのは、たいていもっとあとです。

変化がまっすぐ進むことはめったにありません。苦しい時期や病気、別れをきっかけに、古い反応がしばらく戻ってくることもありますが、それですべてが台なしになるわけではありません。ひと晩のつらい出来事ではなく、数か月を通した大きな流れを見てください。強い不安や親密さへの恐れと長く付き合ってきた人では、何年もかかることがあります。それは失敗のしるしではありません。

それに、目標は安定型の領域に入ることでなくてもかまいません。多くの人にとってもっと大切なのは、恐れや不安が自分の代わりに物事を決めなくなること、そして親密さが試練ではなく、自分で選べるものになることです。

変化に気づくには

いちばん簡単なのは、マップ上の点を比べることです。まず今の時点で診断を受け、数か月後にもう一度、同じ関係を思い浮かべて答えてください。何も変わっていなくても小さな揺れは出るので、大切なのは方向です。点が領域の外側からマップの中央へ寄ってきたのか、それとも線を越えたのか。こうした比べ方は、愛着スタイル診断の結果の見方で説明しています。

診断では測れないしるしもあります。けんかが早く終わる。助けを頼むのが楽になる。メッセージの返信が途切れても前ほど怖くなく、心を閉ざしたい衝動は、何かを壊す前に過ぎていく。こうした小さなことにも目を向けてみてください。変化は得点より先に、こういうところに表れることが多いのです。

自分の印象だけでは心もとないなら、身近な人に、何か変わったと感じるかをたずねてみてください。前より落ち着いた、心を開くようになった、といった変化に最初に気づくのは、周りの人であることがよくあります。

変化についての質問

  1. カウンセリングを受けなければいけませんか?
    いいえ。よい人間関係を重ね、自分の反応に目を向けることで、より安定していく人はたくさんいます。ただ、不安や親密さへの恐れが生活に大きく響いている場合や、何年も続いている場合、つらい経験と結びついている場合は、専門家と一緒に進むほうがたいてい楽で、安全でもあります。
  2. 一度身につけた安定を失うことはありますか?
    あります。喪失やつらい別れ、長く続くストレスで、不安が強まったり用心深くなったりすることがあります。苦しい経験への自然な反応です。新しく頼れる関係の中で安心感が戻ることは多く、自分の反応のくせを知っていれば、自分について結論を急がずに、そうした時期をよりおだやかに乗り越えやすくなります。
  3. 愛着スタイル改善の本や講座は役に立ちますか?
    自分の反応を理解し、それを言葉にする助けにはなります。それはよい最初の一歩です。けれどスタイルを変えるのは知識そのものより、くり返しの経験です。本は変化の代わりにはなりません。恋愛や友人関係、心理療法の場での実践と組み合わせたときに、いちばん役に立ちます。
  4. 半年たっても点が動かないときは?
    よくあることです。スタイルの変化はゆっくりで、半年は長い期間ではありません。スタイル名だけでなく得点も見てください。点が領域の中で動いていることもあります。それから、けんかや、連絡が途切れたときの受け止め方を、半年前と今とで比べてみてください。毎日の暮らしの中の変化のほうが、マップより先にはっきり見えることがよくあります。

参考文献

診断を受けて、今の自分の位置を出発点として残しておきましょう。

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